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葛飾北斎(かつしかほくさい)の力


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今年の青年書読書感想文全国コンクール課題図書『江戸のジャーナリスト葛飾北斎』の表紙には、鳳凰(ほうおう)と波のイラストが描かれています。このイラストを見たとき、ああ、これは信州小布施(おぶせ)で北斎が描いた作品と似ているなと思いました。長野県小布施は、「栗と北斎と花のまち」と呼ばれています。栗のお菓子の工場(こうば)やお店が軒を並べ、散策をすると、栗の香りが立ち込め、歩いているだけでお腹が満たされた気分になる町です。江戸時代には、この地を治めていた松代藩(まつしろはん)が小布施栗(おぶせぐり)として江戸幕府に献上していた歴史もあります。その江戸時代に、晩年の北斎が、地元の豪農商、高井鴻山(たかいこうざん)に招かれ、長く滞在しました。北斎はこの地をとても気に入り、多くの作品を残しました。伝統的な祭屋台に描かれたのは、「男浪(おなみ)」、「女浪(めなみ)」、「鳳凰と龍」のイラストです。波(浪)は、今にも動き出しそうであり、見ている人を北斎の世界へと引き込みます。小布施の中心部から少し離れた岩松院(がんしょういん)というお寺の天井には、「大鳳凰図」が描かれました。この岩松院の鳳凰図は、畳21枚分の大きさゆえに圧倒的な存在感を伝えています。年齢を重ねれば重ねるほど、北斎の作品に向かう気持ちは強く、筆に力が入っていったのかもしれません。
中学生の歴史の教科書で見ると、葛飾北斎については、化政文化のページにたった1行、記述があるだけです。しかし、彼の生涯を掘り下げてみると、これまで知らなかった事実が明らかになり、知識に奥行きを与えることになります。事実、この本、1冊を精読することで、歴史教科書の本文に対して、「ああ、そういうことだったのか。」という理解につながります。これから夏休みになり、時間もたくさんありますね。ぜひ、本を1冊手に取り、知識を深めてみましょう。その深められた知識が学校の授業発表や課題で問題を解く際に発揮されると思います。26日からは夏セミナーがスタートしますが、中2歴史では江戸時代を取り扱います。葛飾北斎が生きた時代とはどのような時代だったのか?教科書プラスアルファの知識をぜひ深めてみましょう。波のデザインにこだわった北斎の秘密、「神奈川沖浪裏」の鑑賞ポイントなどをSee-beに収められた映像をもとに、味わっていきたいと思います。
下土狩校 小林一弥