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問題は社会的なテーマから


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英国に本部のあるチャリティーズ・エイド・ファンデーションという団体が世界各国の寄付やボランティア活動の状況を評価し、独自のランキングを作成しています。その対象調査国の中で日本が下位に評価されているという結果になりました。おもてなし、たすけあいなど、他者に気を配るイメージがもたれている日本において意外な結果だといえるでしょう。ランキングの評価対象の項目に「寄付」と「ボランティア」があります。まずは、日本の現状を見ていきましょう。

「寄付」というとハードルを高く感じてしまうかもしれませんが、クラウドファンディングの手法が近年、急速に普及しています。最近のニュースでは、国立科学博物館の事例があります。国立科学博物館は、光熱費、原材料費の高騰(こうとう)によって、標本資料の収集・保管の活動が大きな危機にさらされました。そこで、クラウドファウンディングで資金を募ったところ、1日で目標金額に達しました。人々の関心の高さがうかがえます。「歴史的建造物を修復保存したい」「自然災害に見舞われた地域を支援したい」など社会的課題を対象にしたクラウドファンディングも増加しました。READYFORなどのクラウドファウンディングに特化したアプリも登場し、どうやったら寄付するかということがより分かりやすくなりました。このやり方は、これからますます盛んになっていくでしょう。

次に「ボランティア」ですが、1995年の阪神・淡路大震災を通して、ボランティアの活動が盛んになりました。1995年は、「ボランティア元年」と言われ、市民活動が盛んになるきっかけとなりました。1999年には国会でNPO法が成立しました。教育、福祉、環境、スポーツ、まちづくりといった活動が多岐に広がり、国や地方自治体とのパートナーシップが進んでいます。今後の日本社会を支える大きな存在となっていくことでしょう。この他にも、日本には古くからゆい、もやいと呼ばれる共同体(村など)で助け合う習慣があります。今でも地域的に残っているところもありますが、都心ではだんだん少なくなっていきました。しかし、東日本大震災をきっかけに地域の絆づくりに再び目が向けられ、地縁の復活や趣味や子育てなど新たなテーマ縁によるつながりが生み出されています。

このように、「寄付」や「ボランティア」に関して日本の対外的な評価は決して高いものではありませんが、クラウドファンディング、NPOなど、新しい取り組みが次々と生まれています。ぜひこうした活動が海外に向けてアピールされていくとよいなと感じます。現在、こうした社会的なテーマを基にして、学力調査や高校入試の問題が展開されることがあります。9月の中3学調では、「節電」「食品ロス」「生成AI」がテーマとなりました。日頃見たり聞いたり体感しているテーマからの出題ですので、ぜひネットニュースなどのトップ項目に注目して、関心のアンテナを張り続けてほしいと感じています。授業でも継続して、こうした社会的なテーマはお話していきますね。