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御殿場校事典 ~社会編~


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社会はキホン覚えないと進みません。しかしながら、ただやみくもに覚えようとしても、人によって大変むずかしい場合もあるかもしれません。「私は社会の事項を覚えることができません。」と堂々と宣言する生徒もいるかもしれません。でも、普通の記憶力があれば覚えられないものはありません。誰だって自分の名前を覚えられない人はいませんよね。ちょっと意識して繰り返せば大丈夫です。ここで大事なのはただ覚えるのではなく、問いとセットにして覚えることです。例えば、歴史で「墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいのほう)」が出題されるとします。漢字で書けと言われるかもしれませんから、漢字で覚えようとします。ノートに3回くらい書いたとします。もう大丈夫ですかね?見ないで書いてみて、と言われて書けたとします。それで次に行ったとします。これでホントに大丈夫でしょうか?このやり方だとあまり役に立たないのではと思います。漢字の練習ならいいですが。歴史のテストで「こんでんえいねんしざいのほう」を漢字で書け、とは出ませんよね。普通には「新しく開墾した土地を永久に私有することを認めた法令を何というか。」という問いの形で出されます。つまり、聞かれることとセットにして用語を覚えないとあまり意味がないのです。また、この場合、問いの中に「墾」「永」「私」という字も入っていますから覚えやすいですね。三進御殿場校ではテスト前に「テスト対策暗記会」を行い、タブレットの「メモリービルダー」を使ってガンガン覚えます。一問一答で答えるスタイルです。問いと答えの関係は、答えにあたる語句の説明が問題文で示されていることになります。そして、基本的な語句を覚えた後、定期テストの模擬問題に向かいます。この順番を間違えては意味がありません。覚えてから問題をやる。先に覚えていないといつまでも答えを見てしまうことになります。「あーぁっ、なんて自分は頭が悪いんだ!」って思ってしまいます。違うんですよ。先に覚えていないから解けないんです。また、暗記には反復が大事です。繰り返して覚え、確認しましょう。だんだん速くなりますから、3回目ぐらいはすぐできます。基本事項が頭に入っていればそれを中核にしてだんだん必要なことがくっついて大きくなっていきます。応用問題へもつながりやすくなります。よく思考力・判断力問題は単純な暗記では対処できないと言われます。しかし、本当にそうでしょうか。思考力とは文章をつなげて、ことがらの連関を示すことです。その文章は単語をつなげたものです。単語がわかっていれば文章は形成できます。スタートは単語・語句です。物質のもとが原子・分子であるように社会の説明文のもとは語句です。一問一答スタイルで覚えた語句が思考力の説明問題のもとになります。そのもとが抜けていたらどんなに思考力を働かせても解答文は形成されません。語句なしに思考力問題は解けないのです。

注「延喜二年 阿波国(あわのくに)戸籍」により作成

例です。
県の入試問題に、次のような問題があります。
奈良時代の律令政治は、平安時代になると、戸籍にいつわりが多くなった。表1に、66歳以上の人が多く見られることから、実際には死亡している人を、人々が戸籍に登録し続けるといういつわりが行われていたと考えられる。人々が、戸籍に死亡している人を登録し続けた理由を、簡単に書きなさい。

この当時、平均寿命は50歳未満でしょう。65歳まで生きている人はほんの少しのはず。ところが名簿を見ると、すごい数の高齢者がいます。「えーっ、少子高齢社会か?」って感じですが、実は違っていて、この戸籍がウソ情報なのです。ちなみに、女性が多いのもウソ情報です。女性は税負担が男性より軽いので性別をいつわって、つまり男性なのに女性だとして戸籍にのせているのです。では、どうして66歳以上の人がこんなに多いのかです。死んだことが悲しくてずっと生きていることにしたなんてことではもちろんありません。生きている人にメリットがないとこんなウソはつきませんよね。ここでポイントは律令政治の基本、「口分田」と「班田収授法」に関してです。一問一答タイプで、班田収授法はこんな問いになります。

 戸籍に登録された6歳以上の男女に口分田を与え、その人が死ぬと国に返す。このしくみを何というか。

 班田収授法

そう、口分田は死ぬと返さないといけないわけです。そうしないと新たに渡すべき次の6歳以上の子に渡せなくなりますから。でも返すと自分たちの口分田が減ってしまう。そうすると収穫量が減って食べるものが少なくなる。それは困るということで生きていることにする。これが問題の核心です。解答例「口分田を返したくなかったから。」このような問題は学校の授業の中では取り扱わなかったかもしれません。公地公民がくずれてからの班田収授法がどうなって戸籍はどう変化していったのかは教科書には出てきませんから。生徒にとっては、初めて見た資料になるかもしれません。それでも既に理解していることから結びつけることはできます。用語とその内容をセットで頭に入れておくことがとても大事だという例です。
以上、社会は「覚える」ことがポイントです。
御殿場校 澤味 進