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21世紀は人権の時代


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夢をつかむ者たちよ 君だけの花を咲かせよう
このフレーズは、1998年長野パラリンピック開会式で披露されたテーマソング「旅立ちの時~Asian Dream Song~」の一節です。作詞は、叫ぶ詩人の会で活動されていたドリアン助川さん、作曲はスタジオジブリの作品でも名高い久石譲(ひさいしじょう)さん、歌っていたのはTHE BOOMの宮沢和史(かずふみ)さんです。宮沢さんは、「島唄」をはじめ、沖縄の世界観を大切に歌われていました。Asian Dream Songという副題もあって、アジアの中のニッポンということを伝えたかったのでしょうか。冬の長野に、アジアの沖縄を持ってきた意味は大きかったと思います。私自身の中で「沖縄」に関する興味・関心が高まっていきました。
それから3年後、沖縄のバンド、喜納昌吉&チャンプルーズのメンバーの方と出会う機会がありました。パラリンピック以来、胸に閉まっておいた沖縄に対する思いをぶつけました。戦争のこと、占領のこと、あらゆる話を聞かせていただいたことを覚えています。中でも印象に残ったのは、「サバニピースコネクション」です。1995年終戦50年を祈念して行われました。与那国島から長崎、広島まで、手漕ぎのサバニという船(南西諸島で古くから使われていた漁船)で海を渡るというものでした。手漕ぎで島から島を渡り、平和の礎(いしずえ)を伝えるというところに深く感銘したのと同時に、オキナワ―ンチュとしての誇りを強く感じ取りました。その話の後、メンバ―の方から一つ質問をいただきました。「21世紀は何の時代になると思う?」私は思わず、「環境とか福祉でしょうか…。」と答えました。しかし、返ってきた言葉は私の予想を超えるものでした。「21世紀は人権の時代になると思う。環境や福祉も大切だけど、人権に対して、国や社会が動く時代になるよ。」環境や福祉を超えて、人権という視点は、思い浮かびませんでした。沖縄の人の視点の広さに、ただただ驚くばかりでした。
 そして2021年、東京オリンピック、パラリンピックが開催されました。オリンピックの閉会式では、沖縄のエイサー、アイヌの伝統舞踊、盆踊りが紹介され、全世界に発信されました。この映像を見ていたとき、私の頭の中に、「21世紀は人権の時代になる」という言葉がよぎりました。「20年前のあの言葉が、現実のものになっている。」とても感慨深いものがありました。20年の月日は、社会情勢を急速にシフトチェンジしました。時は今というところでしょうか。さて、中3社会、公民の学習では、人権のテーマを扱っています。社会の教科書は、今年度から新しくなり、SDGsや多様性を意識した内容となっています。共生社会、多文化社会といったテーマは、現在の日本が向き合わなければならないテーマです。様々な話題を通して、子どもたち自身の問いを深めるような授業を目指し、実践していきます。

下土狩校 小林一弥