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過去から未来への架け橋


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 東日本大震災から十年が経とうとしています。当時、岩手、宮城、福島の状況は様々なメディアで伝えられました。私自身も、本当に現実のことなのかと時に目を疑い、ありのままの現実をいかに受け止めたらよいのか、戸惑いました。「何かできることはないか?」、日々気持ちは強まるばかりでした。気づけば三島駅の街頭で、チャリティー活動に参加していました。
 活動メンバーは、小学生からシニアの方まで、様々な年代の方がいました。先陣を切ったのは、小学生の子どもたち。「募金お願いします。東北の地震の募金をお願いします。」はっきりとのびのびとした声は、道行く人たちの心をとらえます。多くの人が足を止め、子どもたちに「頑張って!!」など、応援の言葉がかけられました。大人たちも負けてはいられません。初めは拡声器なども使っていましたが、次第に思いの丈を伝えながら、往来する人々に声をかけていきました。
 その中で何人か印象に残った人がいます。一人は年配の女性で、箱を持った私たちの前でおもむろに足を止めると、合掌の姿勢をとり、祈り始めました。突然のことで、少し驚きの気持ちもありましたが、恐らくは募金箱を通して、その向こうに岩手、宮城、福島の光景を思い浮かべていたのではないかと思われます。ほんの短い瞬間だったかもしれませんが、長い時間が経過したように感じたのは、その瞬間の静寂に思いの深さが刻まれていたからだと思います。もうお一人は、車で急停止して駆けつけた女性でした。「まだ、間に合いますか?」夕方近かったので、そろそろ終わろうとしていた瞬間でした。「さっき通りかかって、のぼりを見て来たんですけど。まだ間に合うかなって気になって。ほんとに大変ですものね。なんだか『東北』って言葉を見ただけで、いてもたってもいられなくなって・・・。」この言葉を聞いて、やはり多くの人が同じ気持ちでこの時を迎えているのだなと感じました。
 今日も震災に関連するニュースを見ていると、この時の出来事を思い出します。時間は経過しても、色あせることはありません。記憶はつながります。思いもつながります。右に一枚のTシャツがあります。震災復興のためにチャリティーで企画されたものです。東北の子どもたちのメッセージが描かれています。当時、幼かった子どもたちも、もう中高生でしょうか?岩手、宮城、福島の子どもたちの成長が、東北のこれからを支えていくのでしょう。「過去から未来への架け橋」として、次代のために私たちは思いをつないでいかなければなりません。
 私自身としては、社会という教科を通して、これからの子どもたちに伝えていくことではないかと考えています。「何かがしたい。何かができるはずだ。」そんな気持ちを掘り起こすことができたら、うれしいです。「こころ」をいかに育てるか?共感する力や感性を磨く授業を本年度も目指していきます。
下土狩校 小林一弥