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ああ栄冠は君に輝く


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 「ああ栄冠は君に輝く」印象的なこのフレーズは、全国高等学校野球選手権大会の大会歌です。作曲者は古関裕而(ゆうじ)さんで、今年はNHKの朝の連続テレビ小説「エール」で、彼の一生が描かれました。古関さんは、この他にも「東京オリンピックのオリンピックマーチ」、「阪神タイガース、読売ジャイアンツ、中日ドラゴンズの球団歌」などの数々の行進曲、応援歌を作ったことでも有名です。今でも私たちの耳に残る数々のメロディーは、どのようにして生まれたのでしょうか。

 古関さんは、福島県に生まれました。お父さんが無類の音楽好きで蓄音機(ちくおんき)を購入し、音楽が常に流れる家庭環境で育ったそうです。そのため、幼い頃から音楽に関心を持ち、ハーモニカやピアノなどの楽器を演奏していました。作曲の勉強は独学でした。高校卒業後、働きながら作曲を続け、東京に上京。レコード会社と専属契約を結び、作曲家デビューをします。

いくつもの楽曲を作った古関さんでしたが、ある時、曲が全く作れなくなったことがありました。(ドラマの中でも紹介されています。)それは、ある楽曲の依頼が来た時なのですが、どうしてか全く作る気になれない。自分の中でなかなかやる気になれないのです。

 やがて、転機が訪れます。きっかけは、作曲依頼者の思いを古関さんが聞いた時でした。「曲を依頼するまでの道のり、なぜ依頼するのかという理由、できた曲を届けたい人がいるということ」など、この話を聞いた古関さんは、驚くべきスピードで楽曲を書きあげます。何かを作り上げるためには、情熱が必要で、その情熱に火をつけるためには、火種を持っていなければならない。表現者というのは、絶えず絶えずその火種を持ち続け、「これだ!!」という機会に自分の中で火をともし、周りを照らす存在でなければならない。「生みの苦しみ」といいますが、常に緊張感をともなう戦いがそこにあったのです。

誰もが聞きなじみのあるメロディーは、表現の格闘の中で生まれたものでした。様々な引き出しを持つために、より多くの経験が活きてくるのだと思います。歌い手は、苦難を乗り越えるほどよい歌が歌える、演じ手は、良い芝居ができる、作曲者は、良い曲ができるということなのでしょう。全ての人に届く歌、2020年に届くエールとして、古関さんのメッセージは私たちの心に響きます。「栄冠は君に輝く」を甲子園を目指す球児だけではなく、それぞれの志望校を目指す受験生に対してのメッセージソングとして。2020年も残り1ヶ月、全力疾走でいきましょう!!

下土狩校 小林一弥