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次代につなげるバトン


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来月23日、アメリカの民間企業スペースX社が製作した民間宇宙船「クルードラゴン」に日本人宇宙飛行士として野口聡一(のぐちそういち)さんが搭乗する予定です。クルードラゴンは、民間初の有人宇宙船で、今年の5月に試験飛行が成功し、今回、本格的な運転となりました。野口さんは、96年にNASDA(現JAXA)の宇宙飛行士候補に選ばれ、これまでにアメリカのスペースシャトル、ロシアのソユーズに搭乗(とうじょう)してきました。地球に帰還後、それぞれのフライトで感じ取った宇宙の素晴らしさを、講演会や小中学生向けの科学教室で話されていました。宇宙を語るときの野口さんの目は、50代となった今でも、輝きを放っています。この輝きは、どのような所から生み出されたものでしょうか。

野口さんは、神奈川県横浜市に生まれ、茅ケ崎(ちがさき)市で育ちました。小学生からボーイスカウトを始め、年齢や環境が異なる人たちとの交流を通して、一つのミッションをチームで達成することの大切さを学びました。宇宙自体に興味を持ったのは、1981年にスペースシャトルが初めて打ち上げられた様子をテレビで見たことがきっかけです。それまでの宇宙船が一回で役目を終えていたのに対し、スペースシャトルは何度も宇宙に行くことができました。繰り返し使える点が魅力的だったようです。この時から、野口さんの夢は、「宇宙飛行士」となり、高校3年の進路指導では、希望の職業にも「宇宙飛行士」と書いたそうです。日本人の宇宙飛行士がまだいなかった時代、なるための情報も乏しかった時代に、自らの行動力で夢に向かっていきました。それから、東京大学で宇宙工学を学び、1996年に宇宙飛行士の選抜試験を受けました。難しい学力試験、英語、心理学分野の専門家による面接、長期滞在適性検査…。直径1メートルのボールに入って、外からファスナーで閉められる実験(閉所での恐怖に耐えられるかどうかをみる)、回転いすに14分間乗り続ける実験など、常人では思わず音を上げてしまうものもあり、心技体すべてがそろっていないと合格は困難な試験内容です。しかし、野口さんは、多くの課題をクリアし、宇宙飛行士候補の切符をつかみ取りました。

昨年、講演会でお話しされていた中で、興味深い話題がありました。今回、宇宙に挑戦するのは、新型民間宇宙船クルードラゴンが、2020~2030年代を支える宇宙船になることから、これからの若い世代が宇宙に行くための準備がしたいということでした。2019年は、アポロが月面着陸して50年(1969年7月20日)になります。レガシー(遺産)を大切にして、次の時代につなげることは、まさに壮大な夢です。その夢に向かって前進するためには、「こうありたい」と思う自分の気持ちが大切です。野口さんの言葉は、皆さんの、それぞれの目標に向かう姿勢を後押ししてくれるのではないでしょうか。次代のバトンを受け取るのは、皆さんです。これからの2020年代を駆け抜けていきましょう。

下土狩校 小林一弥