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今、読みたい本


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今、世界では、色々な変化が起きています。本当に驚くことばかりで、どう受け止めていいのか、そして、どう受け入れていけばいいのか、気持ちの整理がつかないかもしれません。そんなときには、一つ立ち止まって、考えてみましょう。ゆっくりと落ち着いて、物事を見ていけば、私たちのこれからにつながるヒントが見えてくるはずです。情報を得るのは、ネットやTVだけではありません。ここでは、2020年の今、みなさんに読んでほしい本を紹介したいと思います。

「光村ライブラリ中学校編 巻5 朝のリレーほか」
光村図書の国語の教科書にこれまで載っていた詩を集めた本です。普段使っている教科書とは異なり、一味違った作品を味わうことができます。掲載されているものの中で、私が特に好きな詩は、谷川俊太郎さんの「朝のリレー」です。この詩では、「同じ時代にともに生きる人々」について語られます。グローバルな視点、世界的同時性、このメッセージを初めて読んだ当時は、とても新鮮に響きました。その言葉の響きは声に出して朗読することで、より深めることができます。この詩のほかにも、声に出して読みたい作品がたくさん収められています。美しい響きのある日本語にぜひ触れてみましょう。

「クスノキの番人」 東野圭吾(ひがしのけいご)
「マスカレードホテル」などのミステリー小説でも有名な東野さんの小説ですが、今回は、ミステリーとは一味違ったジャンルの作品です。内容もさることながら、展開の仕方が本当に素晴らしいです。初めから中ほどまでは、読者に考えさせながら、スローテンポで進行し、それ以降は、スピードを上げてお話の核心へと迫っていきます。文章の構成やスピード、テンポといったものが計算しつくされています。また、物語のメッセージにも目を向けたいです。「人々の思いはどのようにつながれるのか?」。朝のリレーが、同時代の横の関係性に注目しているのに対し、クスノキの番人は、過去から現在、そして未来へと、縦のつながりが強調されます。2020年の今を生きる私たちにも、通ずるところがあるでしょう。本を読み終わった後、天井に届くような爽快感を味わってほしいと思います。

「いのちの車窓から」 星野源(ほしのげん)
「うちで踊ろう」という動画が、SNS上で話題になっています。星野さんがつけたメロディーに、コーラス、ダンス、楽器などの形で様々なコラボを楽しむというものです。音楽から演劇、そしてこの著書にいたるまで、星野さんの作品には、「今を切に生きる」というメッセージが込められている気がします。これまでの星野さん自身の体験が、作品に彩りを添えるのでしょう。
優しく、前向きで、そして身近な視点から語られる数々の言葉を味わってみましょう。
私が好きな言葉は、「クローズアップした僕の目の中には、見違えるような青空が見える。この後は晴れである。」です。今がなかなか踏ん張りどころで、そのあとには青空が見える。明けない夜はない。止まない雨はない。嵐の向こうには、青空に虹がかかっているのだと願って…。読み進めてみたいですね。

下土狩校 小林一弥