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道ばたの神さま


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先日、自宅の近くを歩いていたところ、道の片隅にお地蔵さんほどの小さな石像を見かけました。道祖神(どうそしん)という神さまの石像で、村に悪いものが入ってくるのを防ぐため、その入り口や村境(むらざかい)に置かれていたものです。探せば皆さんの周りにも見つかるかもしれません。日本では道祖神に限らず、たくさんの神々が祀(まつ)られてきました。雷や洪水のような自然現象から生まれたものもあれば、偉大な功績を残した実在の人物を神さまとして祀ることもあります。前者としては、雷にまつわる自然現象を神さまに見立てた八雷神(やくさいかづちのかみ)が古事記に登場します。
また実在の人物を祀った例としては菅原道真が有名です。沼津本部校でも立派な木像が台座の上に置かれています。彼はすぐれた学者であり政治家でしたが、他の貴族たちから罠にかけられて悲惨な最期を迎えました。その死後には様々な災難が宮中を襲ったことから、道真は怨霊(おんりょう)になったと考えられたそうです。
しかしながら日本で祀られてきたのは、必ずしも良い神さまばかりだとは限りません。たとえば洪水を引き起こすような神さまさえも信仰の対象とされてきました。そうすることで荒ぶる魂を鎮め、その大きな力が自分たちを守ってくれるようになると信じられてきたのです。こうした流れで、強大な怨霊の多くが神社で祀られてきました。道真に関しては政治家や詩人として並外れた才能を示したこともあり、今や学問の神さまとして知れ渡っているのです。
もしこういった話に興味がわいたのであれば、古事記や遠野物語に触れてみるのがよいかと思います。古事記は日本最古の歴史書で、遠野物語は岩手県遠野市に伝わる民話を集めた説話集となります。どちらも今はわかりやすい現代語に訳されていて、手軽に読むことができるはずです。大学でも、民俗学や文化人類学といった分野でこうした研究が行えます。
まだ興味のある分野が見つかっていなければ、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。